1型糖尿病の子の修学旅行・宿泊行事 準備ガイド

修学旅行や林間学校、部活の合宿。1型糖尿病のお子さんにとっても、家族と離れて過ごす大切な経験です。一方で、食事や活動の時間、睡眠のリズムがふだんと変わるため、親御さんは「夜の低血糖は?」「機器のトラブルは?」と心配になりやすいもの。この記事では、主治医と学校に早めに確認しておきたいことをまとめました。

この記事のポイント

  • 食事・活動・睡眠が変わるので、血糖はふだんより動きやすい
  • 持ち物は「予備」まで含めて準備し、分けて持つ
  • 夜間の低血糖への備えと、引率の先生との役割分担を決めておく
  • 行事の内容がわかったら、早めに主治医と学校に相談する

なぜ宿泊行事は血糖が動きやすいのか

宿泊行事では、歩く時間が長い日もあれば、バスに長く座る日もあります。食事の時間や内容も家とは違い、おやつの機会も増えがちです。緊張や寝不足も血糖に影響します。日中にたくさん動いた日は、数時間後や夜にも血糖が下がりやすくなることがあります。ふだんより余裕のある準備が基本です。

出発の前に主治医と相談しておくこと

行事の日程と内容(歩く距離の目安、食事の時間、入浴、就寝時間など)がわかったら、早めに主治医に伝えて相談します。とくに確認しておきたいのは次の点です。

  • 行事の日の測るタイミングと、夜間の確認をどうするか
  • 食事や活動量が変わる日の、インスリンについての考え方(自己判断で変えず、事前に決めておく)
  • 低血糖のときの対応と、補食の持たせ方
  • 体調をくずしたときや、低血糖への対応後も回復しないときの対応、夜間・休日を含む連絡方法、旅行先で受診する医療機関
  • センサーやポンプの故障・注入が止まったときの対応と、医療機関への連絡方法

低血糖のときは、お子さんがとるブドウ糖の量は、体格や治療内容に応じて事前に主治医と決めておきます。一般的な流れは、意識がはっきりして安全に飲み込めるときに、ブドウ糖約10gをとり、15分待って再確認し、戻らなければもう一度とるものです。センサーの値は回復するときにも遅れて変わることがあるため、回復の確かめ方や、もう一度とるかどうかの判断は、指先測定を含めて主治医と決めた方法で行います。測る準備のために対応を遅らせないようにします。待つ間に意識や飲み込みの様子が悪くなったときは、口から与えず、すぐに救急要請します。低血糖が疑われるときは、安全な場所で大人が付き添って対応し、本人だけで部屋や保健室などへ移動させません。対応しても回復しないときは、事前に決めた連絡先へ速やかに連絡します。意識がはっきりしない・飲み込めないときは、家族への連絡や医療機関の返事を待たず、口から与えずに救急要請するのが原則です。低血糖に備えた救急用の薬には種類があり、先生が使える条件は同じではありません。先生が使うのは、重い低血糖で命に危険がある状態など、緊急でやむを得ない場面を想定したものです。鼻に使うタイプの救急用の薬が処方されている場合は、学校で使う必要性と注意点について医師の書面での指示を受け、本人・保護者から学校へ具体的に依頼しておきます。引率の先生とは、本人確認と指示書に沿った使う手順、保管場所、役割分担を共有し、使ったあとは回復しても必ず医療機関を受診すること、薬を使うことで救急要請を遅らせないことも確認しておきます。

学校・引率の先生と共有しておくこと

引率の先生は、ふだんお子さんを見ている担任とは限りません。病気の説明、低血糖のサインと対応、夜間の見守りをだれがどうするか、緊急時の連絡先を、書面にして事前に渡しておくと共有しやすくなります。部屋割りや入浴の時間、測定や注射をする場所、機器のアラームが鳴ったときの対応も、学校と話し合っておくと当日の迷いが減ります。

持ち物チェックリスト

持ち物 ポイント
インスリン・注射の道具 日数分に加えて予備を。保管場所(暑さ・寒さ)も確認
血糖測定器・センサー 指先で測る道具と、予備のセンサーも
ブドウ糖・補食 本人が持つ分と先生に預ける分に分けて持つ
ポンプを使っている場合の物品 注入に必要な予備と、故障・注入中断に備えて主治医と決めた代わりの対応に必要なもの
ケトンを確かめる道具 主治医に勧められている場合
連絡先メモ 主治医・家族・機器の問い合わせ窓口
病気について書いた書面 本人・保護者の意向を確かめ、対応する教職員が必要な情報を見られるように。宿泊先への共有は必要な範囲を学校と相談

よくある質問

Q. 夜の低血糖が心配です。どう備えればいいですか?
夜間の確認方法、機器のアラームが鳴ったときにだれが対応するか、低血糖のときの補食をどこに置くかを、主治医と学校の両方で決めておくのが基本です。親が直接見られない夜だからこそ、事前の取り決めが役に立ちます。

Q. 本人が友だちに病気を知られたくないと言っています。
伝える範囲は本人の気持ちを大切にして決めてかまいません。ただ、引率の先生には必要なことを伝えておきます。だれにどこまで伝えるか、本人と一緒に先生と相談しましょう。

行事の日の測定・補食・インスリンの扱いは、お子さんの年齢や治療内容によって大きく異なります。この記事は一般的な情報です。具体的な対応は、必ず主治医の指示に従ってください。

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この記事は、糖尿病・内分泌専門医のDr.いわたつが監修しています。

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