入学や進級、担任の先生が替わるとき。1型糖尿病のお子さんの親御さんにとって、「学校にどう伝えるか」は毎年のように訪れる悩みです。先生も、1型糖尿病について詳しく知っているとは限りません。大切なのは、してほしいこと・してほしくないこと・困ったときの連絡先を、わかりやすく書面で共有しておくこと。この記事では、学校に伝えておきたい内容と、話し合いの進め方を整理します。
この記事のポイント
- 病気のしくみより「学校で起こりうる場面と対応」を中心に伝える
- 書面にまとめると、担任以外の先生にも共有しやすい
- 学校生活管理指導表などの書類は主治医に相談する
- 担任・養護の先生など、関わる先生と話し合う場をつくる
まず伝えたいこと
1型糖尿病は、体の中でインスリンがほとんど作られなくなる病気で、本人の生活習慣が原因ではありません。うつる病気でもありません。血糖が高いときにはのどが渇く、トイレが近くなる、だるくなるといった様子が見られることもあります。こうした基本を伝えたうえで、学校では「どんな場面で何が起こりうるか」「そのときどうしてほしいか」を中心に伝えると、先生も動きやすくなります。
学校と共有しておきたい項目
| 項目 | 伝える内容の例 |
|---|---|
| 低血糖 | 出やすいサイン、対応の手順、補食やブドウ糖を置く場所。低血糖が疑われるときは移動させず、その場で大人が付き添って対応すること |
| 測定・注射 | 必要なときに測定・注射・補食ができる環境、機器のアラームが鳴ったとき |
| 給食 | 食べる前にすること、おかわりや残したときの考え方 |
| 体育・行事 | 運動の前後に気をつけること、休む合図 |
| 体調不良 | 早退や連絡の目安 |
| 連絡先 | 家族、主治医、機器の問い合わせ窓口 |
低血糖のときは、お子さんがとるブドウ糖の量は、体格や治療内容に応じて事前に主治医と決めておきます。一般的な流れは、意識がはっきりして安全に飲み込めるときに、ブドウ糖約10gをとり、15分待って再確認し、戻らなければもう一度とるものです。センサーの値は回復するときにも遅れて変わることがあるため、回復の確かめ方や、もう一度とるかどうかの判断は、指先測定を含めて主治医と決めた方法で行います。測る準備のために対応を遅らせないようにします。待つ間に意識や飲み込みの様子が悪くなったときは、口から与えず、すぐに救急要請します。低血糖が疑われるときは一人で移動させず、その場で大人が付き添って対応することも共有しておきます。意識がはっきりしない・飲み込めないときは、口から与えずに救急要請し、家族に連絡するのが原則です。低血糖への対応をしても血糖や症状が回復しないときは医療機関へ連絡するため、その連絡先とタイミングを事前に主治医と決めて、学校とも共有します。低血糖に備えた救急用の薬には種類があり、先生が使える条件は同じではありません。先生が使うのは、重い低血糖で命に危険がある状態など、緊急でやむを得ない場面を想定したものです。鼻に使うタイプの救急用の薬が処方されている場合は、学校で使う必要性と注意点について医師の書面での指示を受け、本人・保護者から学校へ具体的に依頼しておきます。学校とは、本人確認と指示書に沿った使う手順、保管場所、役割分担を共有し、使ったあとは回復しても必ず医療機関を受診すること、薬を使うことで救急要請を遅らせないことも確認しておきます。
書類と話し合いの進め方
学校への相談は、入学・進級や復学の前など、準備ができる時期に始めるのが一般的です。年度の途中で診断された場合も、退院や復学の前に一度話し合っておくと、本人が教室に戻りやすくなります。学校には、病気についての書類(学校生活管理指導表など)の提出を求められることがあります。記入は主治医に相談しましょう。そのうえで、担任・養護の先生、必要に応じて管理職や体育の先生とも話し合う場をつくってもらうと、情報が一人の先生に偏りにくくなります。話し合いでは、本人ができること・手伝ってほしいことを分けて伝えると、過度な制限を避けることにもつながります。
クラスの友だちへの伝え方
クラスの友だちに伝えるかどうか、いつ・どこまで伝えるかは、本人の希望を踏まえて学校と相談して決めます。伝える場合は、「おやつを食べているのは治療のため」「具合が悪そうなときは先生を呼んでほしい」など、友だちにできることを短く伝えるのが一般的です。
よくある質問
Q. 担任の先生が替わるたびに説明するのが大変です。
一度、伝えたい内容を書面にまとめておくと、毎年の引き継ぎに使えます。内容が変わったときは、主治医と相談して更新しましょう。
Q. 学校から「できないこと」を多く言われて心配です。
心配や疑問があれば主治医に相談し、学校生活でできることを書面で伝えてもらうと、話し合いが進みやすくなります。
学校での対応はお子さんの年齢や治療内容、学校の体制によって異なります。この記事は一般的な情報です。具体的な対応は、必ず主治医の指示に従ってください。
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この記事は、糖尿病・内分泌専門医のDr.いわたつが監修しています。

