糖尿病の初期症状・気づきのサイン

糖尿病を知る(基礎)

糖尿病はよく「サイレントキラー」と呼ばれます。初期は自覚症状が出にくいからです。血糖が少し高い程度では体はほとんど変化を感じず、健診で偶然見つかることも珍しくありません。だからこそ、小さなサインに気づくことと、定期的な検査を続けることが大切になります。この記事では、糖尿病で見られる代表的な症状と、そのしくみ、受診の目安を整理します。

この記事のポイント

  • 初期は無症状のことが多く、「症状がない=大丈夫」とは言えない
  • のどの渇き・多飲・多尿・体重減少・易疲労感が代表的なサイン
  • 目のかすみ、傷が治りにくい、足のしびれなども関連することがある
  • 症状に気づいたとき、あるいは健診で高値なら早めに受診を

初期は症状が出にくい

血糖が軽度に高い段階では、体は痛みも不快感もほとんど感じません。そのため「調子が悪くないから受診しなくてよい」と考えてしまいがちですが、これが糖尿病の落とし穴です(これは主に2型糖尿病についてのお話です)。症状が出てくるのは血糖がかなり高くなってからで、そのときにはすでに数年が経過していることもあります。無症状のうちは血液検査でしか見つけられず、その最も身近な機会が健診です。血糖値やHbA1cの数値を毎年チェックする意味はここにあります。なお、急に発症するタイプ(おもに1型糖尿病)では、直前の健診が正常でも、口渇・多尿・体重減少が短期間に強く現れることがあり、その場合はすぐに受診してください。

代表的なサインとそのしくみ

血糖がかなり高くなると、次のような変化が現れることがあります。それぞれ体のしくみと結びついています。

サイン なぜ起こる
のどが渇く・水をよく飲む(多飲) 尿で水分が失われ、体が水分を欲する
尿の回数・量が増える(多尿) 余分な糖を尿に出そうとして水分も一緒に排出される
体重が減る 糖をエネルギーに使えず、脂肪や筋肉が分解される
疲れやすい・だるい(易疲労感) 細胞がエネルギー源の糖をうまく取り込めない
目がかすむ 血糖の変動で水晶体の状態が一時的に変わることがある。ただし網膜症や黄斑浮腫など目の病気が原因のこともあり、一時的とは限らないため眼科での確認が必要
傷が治りにくい・感染しやすい 高血糖が免疫や血流に影響する
手足のしびれ 高血糖が末梢の神経に影響する

「のどの渇き・多尿・体重減少」がそろってくると、血糖がかなり高くなっている可能性があり、注意が必要です。

症状の裏で進む合併症

目立つ自覚症状がなくても、高血糖が続くと血管や神経が少しずつ傷んでいきます。眼・腎臓・神経の細い血管の障害や、心臓・脳の太い血管の動脈硬化は、症状が出る前から進行することがあります。とくに神経の障害による足のしびれや、目の奥の血管の変化は、本人が気づかないうちに進むことがあります。定期的な合併症のチェックが重要なのはこのためです。症状の有無にかかわらず、診断されたら定期的に眼底検査や尿検査などを受けることがすすめられます。

健診で見つかることが多い理由

糖尿病の多くは、自覚症状ではなく健診の数値で見つかります。空腹時血糖やHbA1cが基準を超えていても、体感としては何も変わらないことがほとんどだからです。だからこそ「毎年の健診を欠かさない」「指摘されたら放置しない」という当たり前の行動が、早期発見の最大の武器になります。とくに40歳以降や、家族に糖尿病の人がいる、肥満・運動不足があるといったリスクの高い方は、数値の推移を意識して追うことが大切です。

こんなときは受診を

上のサインがある、または健診で血糖・HbA1cが高めと言われたら、早めに内科・糖尿病内科へ相談しましょう。とくに、急にのどの渇き・多尿・体重減少が強く出ている場合や、強い倦怠感がある場合は、その日のうちの受診が必要です。さらに、吐き気・嘔吐・腹痛をともなうときはすみやかに救急を受診し、意識がもうろうとしている場合はただちに119番してください。これらは糖尿病ケトアシドーシスや高浸透圧高血糖症候群など、緊急の治療を要する状態のことがあります。放置すると危険な状態につながることがあります。

受診前セルフチェック

  • 最近、水やお茶をやたらと飲むようになった
  • 夜間にトイレで何度も起きる
  • 食べているのに体重が減ってきた
  • 理由のない強い疲れ・だるさが続く
  • 視界がかすむ、傷が治りにくい
  • 健診で血糖・HbA1cが高めと指摘された

健診で異常を指摘された場合は、症状の有無にかかわらず相談してください。また、上の症状は一つだけでも、強い・続くときは受診の目安になります。いずれも自己判断で様子見にしないことが大切です。

よくある質問

Q. 症状がまったくないのですが糖尿病の可能性はありますか?
A. あります。とくに2型糖尿病では初期はむしろ無症状が普通で、健診や採血の数値で見つかることが多いので、定期検査を続けてください。一方、急に発症するタイプでは短期間で症状が出ることもあります。

Q. のどの渇きはただの夏バテでは?
A. 一時的なものも多いですが、多尿・体重減少を伴う場合は高血糖のサインのことがあります。続くようなら受診しましょう。

Q. 症状が消えたので受診しなくてよい?
A. 症状の有無と血糖の状態は必ずしも一致しません。気になる指摘があれば、症状が消えても一度確認することをおすすめします。

この記事は一般的な情報です。診断は医療機関で行われます。気になる症状は自己判断せず、主治医にご相談ください。

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