1型・2型・その他──糖尿病の違い

糖尿病を知る(基礎)

ひとくちに糖尿病といっても、タイプによって成り立ちや必要な治療が異なります。「1型」「2型」という言葉は聞いたことがあっても、その中身はしばしば混同されています。ここを正しく知っておくと、あふれる情報に振り回されにくくなり、自分や家族の状況に合った対応が見えてきます。

この記事のポイント

  • 1型はインスリン分泌が低下 → インスリン依存状態では注射が必須(緩徐進行型では診断当初に不要な場合もある)
  • 2型は分泌の低下+効きの低下 → 食事・運動が土台、必要に応じ薬
  • 日本の糖尿病の大多数は2型
  • その他に妊娠糖尿病、薬や病気による二次性などがある
  • タイプの見分けが、治療の第一歩

そもそもインスリンとは

タイプの違いを理解する前に、共通の土台をおさえましょう。食事の糖はブドウ糖として血液に入り、すい臓から出るインスリンは、筋肉や脂肪などへのブドウ糖の取り込みを促し、その利用や貯蔵を助けます。インスリンは血糖を下げられる体内で唯一のホルモンです。1型は主にβ細胞の破壊、2型は分泌の低下と抵抗性がさまざまな程度で関わり、成因や検査結果からタイプを分類します。詳しい仕組みは糖尿病とはもご覧ください。

1型糖尿病

1型は、自己免疫の異常などによって、すい臓でインスリンを作るβ(ベータ)細胞が壊れ、インスリンがほとんど出なくなるタイプです。インスリン分泌が著しく不足し、生命維持のためにインスリン補充が不可欠な状態(インスリン依存状態。分泌が多少残っている場合もあります)になると、外からインスリンを補う注射(またはポンプ)が生きていくうえで欠かせません。急に進む急性発症・劇症型では速やかなインスリン治療が必要です。一方、ゆっくり進む緩徐進行型では、診断当初はまだ分泌が保たれ、インスリン非依存状態にある段階もあります。この場合は緩徐進行1型糖尿病の疑い例として経過をみることがあり、確定診断には経過中に分泌が高度に低下しインスリン治療が必要になることなどの要件があります。

大切なのは、1型は食べ過ぎや運動不足といった生活習慣が原因ではないという点です。小児から高齢者まで、いずれの年齢でも発症します。病型ごとの傾向としては、劇症型は成人での発症が主体で小児では比較的まれ、緩徐進行型は成人での発症が多いとされますが、実際には全年齢で起こり得ます。日々の治療では、食事の糖質量に合わせてインスリン量を調整するカーボカウントなど、こまやかな管理が力になります。1型とともに歩む毎日の工夫については、専用の情報やアプリも役立ちます。

2型糖尿病

2型は、インスリンの分泌の低下と、インスリンの効きの低下(インスリン抵抗性)が組み合わさって起こります。生まれ持った体質(遺伝)に加え、肥満・運動不足・加齢・ストレスなどが関わります。日本の糖尿病の大多数がこの2型です。

治療は食事・運動という生活習慣の見直しが土台で、その上で必要に応じて飲み薬や注射薬を組み合わせます。初期は自覚症状がほとんどなく、健診の数値で見つかることが多いのも特徴です。数値が「境界型」の段階(糖尿病予備群)で気づければ、生活の工夫で進行を遅らせる余地が大きくなります。

その他のタイプ

糖尿病は1型・2型だけではありません。妊娠糖尿病は、妊娠中に初めて発見・発症した、糖尿病には至っていない糖代謝異常で、母体と赤ちゃんの健康のため丁寧な管理が必要です(妊娠中に明らかな糖尿病の基準を満たすものや、もともと糖尿病がある方の妊娠は別に扱います)。ほかの病気や薬の影響で起こる二次性糖尿病(ステロイドなどの薬剤、すい臓の病気、内分泌の病気など)や、若くして発症する遺伝性のMODYと呼ばれるタイプもあります。タイプによって最適な対応が変わるため、まずは正しく見分けることが出発点になります。

見分けが治療を左右する理由

1型と2型は、どちらもインスリン作用の不足という共通点はありますが、その主な成り立ちが異なるため、対応も変わります。1型は主にβ細胞の破壊でインスリンが枯れていく病気なので、外からインスリンを補うことが命に関わる基本です。一方2型は、生活習慣の見直しと薬でインスリンの働きを支えるのが中心になります。タイプを取り違えると、必要な治療が遅れたり、逆に不要な負担をかけたりしかねません。だからこそ、症状や年齢だけで決めつけず、検査に基づいて正しく見分けることが重要です。特に、やせているのに急に強い高血糖症状が出た場合などは、2型と決めつけず1型やその他のタイプも念頭に置いて医療機関で調べる必要があります。

比較のまとめ

1型 2型
主な原因 自己免疫などでβ細胞が破壊 体質+生活習慣
インスリン 分泌が低下(依存状態では著しく不足。緩徐進行型は当初保たれることも) 出るが不足・効き低下
発症年齢 全年齢で発症(病型により傾向が異なる) 中高年に多い
治療の中心 インスリン補充(依存状態では必須。緩徐進行型では当初不要な場合も) 食事・運動+必要に応じ薬
割合(日本) 少数 大多数

受診の目安 チェックリスト

  • のどの渇き・多尿・急な体重減少が短期間で強く出た(1型では急に進むことがある)→ 速やかに受診を。吐き気・嘔吐・腹痛・意識がもうろうとするなどを伴う場合は、ケトアシドーシスの可能性があり救急受診が必要
  • 健診で血糖やHbA1cの数値が基準を超えていた
  • 家族に糖尿病の人がいる
  • 妊娠中に血糖の指摘を受けた
  • ステロイドなどの薬を使っている、またはすい臓の病気がある

よくある質問

Q. 2型は1型に進行しますか?
A. 別々の病気なので、2型が1型に変わることは基本的にありません。ただし2型でも、進行した場合のほか、診断時に著しい高血糖や急性の代謝の乱れがある場合には、一時的または継続的にインスリン注射が必要になることがあります。

Q. 自分がどのタイプか、自宅で分かりますか?
A. 自己判断はできません。抗体検査やインスリン分泌の検査などを含め、医療機関で見分けます。

タイプの判断は検査を含め医療機関で行われます。この記事は一般的な情報です。治療中の方は主治医の指示を優先してください。

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