「カロリーゼロ」「糖類ゼロ」の飲み物やお菓子でよく使われる甘味料。少量で強い甘みを出す「高甘度甘味料」(合成のもののほか植物由来のステビアなど)や、糖アルコールなどが含まれます。糖尿病の人が使っても大丈夫なのか、太らないのか、体に悪くないのか——気になるポイントを、専門医の視点でフラットに整理します。過度に恐れる必要も、万能とあてにする必要もありません。上手なつき合い方を知っておきましょう。
この記事のポイント
- 多くの人工甘味料は血糖をほとんど上げないとされる
- 砂糖の置き換えは、糖質・エネルギーを減らす手段の一つ(長期的な血糖・体重改善までは確立していない)
- 「ゼロ」でも飲みすぎ・食べすぎには注意
- 「無糖」表示でも他の糖質が含まれることがある
- 甘さを控えるかどうかは生活上の選択肢。利用は食事全体の糖質・エネルギー量を踏まえ個別に判断
甘味料ってどんなもの?
「甘味料」とひとくくりにされますが、性質は種類によって異なります。高甘度甘味料は少量で強い甘みを得られるため、通常の使用量ではエネルギー摂取への寄与が小さいのが特徴です。これには合成のアスパルテーム・スクラロース・アセスルファムK・サッカリンなどのほか、植物由来のステビアも含まれます。一方、糖アルコール(エリスリトール・キシリトールなど)は、甘味度・エネルギー・血糖への影響が種類によって異なります。日本では、食品への使用が国の安全性評価を経て一定の使用基準の範囲内で認められています。通常の摂取量であれば、健康への影響を過度に心配する必要はないと一般的に考えられています。多くの成分には許容一日摂取量(ADI)が設定されており、体重あたりの総摂取量も安全性評価の指標となります(食品への使用基準と、個人が実際にどれだけ摂るかは別の話です)。
血糖への影響は?
アスパルテームやスクラロースなどの高甘度甘味料そのものは、通常の使用量では血糖をほとんど上げないとされています(ただし、その甘味料を使った食品に含まれる他の糖質による血糖への影響は別に考える必要があります)。たとえば砂糖入りの清涼飲料水を「ゼロ」タイプに替えると、食後の血糖上昇や摂取エネルギーを大きく減らせる可能性があります。甘いものをどうしてもやめられないときの、現実的な「置き換え」の選択肢になります。水代わりに避けたい飲み物を無糖タイプに切り替える一歩としても使えます。ただし、砂糖を減らしたぶんの糖質・エネルギー摂取が減ることと、長期的なHbA1cや体重の改善が得られるかは別の問題です。日本糖尿病学会の2024年の診療ガイドラインでは、糖尿病の血糖コントロールに対する影響は十分に確認されておらず、使用・不使用のどちらかを積極的にすすめるには至っていないとされています。過度な期待はしないようにしましょう。なお糖アルコール(エリスリトールなど)は、種類や量によってお腹がゆるくなることがある点も覚えておきましょう。また、低血糖の対処には、糖をほとんど含まない「ゼロ」飲料や高甘度甘味料は使えません。意識がはっきりして飲み込める場合は、ブドウ糖約10gなどで対処してください。15分後に症状と、測定できれば血糖値を確認し、改善しなければブドウ糖をもう一度摂取します。改善しない・繰り返す場合は医療機関に連絡してください。意識がはっきりしない・飲み込めない場合は口から与えず、直ちに救急要請(119番)を。日常の飲料の置き換えと、低血糖時の糖分補給は分けて考えましょう。
甘味料のタイプ(目安)
| タイプ | 例 | 血糖・エネルギーへの影響(目安) |
|---|---|---|
| 砂糖(ショ糖) | 上白糖・グラニュー糖 | 血糖を上げやすくエネルギーもある |
| 高甘度甘味料 | アスパルテーム・スクラロース・ステビア(植物由来)等 | 血糖・エネルギーへの影響はごく小さいとされる |
| 糖アルコール | エリスリトール・キシリトール | 種類で差があり一律ではない(表示上のエネルギーはエリスリトール0kcal/g・キシリトール3kcal/g)・多量でお腹がゆるむことも |
※影響には個人差があり、あくまで一般的な目安です。
「ゼロだから安心」ではない理由
- 甘味への慣れ:強い甘さに慣れると甘いもの全体を欲しやすくなる、という指摘もありますが、甘味料が依存や食べすぎを引き起こすという因果関係は確立していません。生活上の心がけの一つとして捉えましょう。
- 「ゼロ」表示の落とし穴:「ゼロカロリー」は食品100gまたは飲料100mLあたり5kcal未満、「糖類ゼロ・無糖」は糖類0.5g未満で表示でき、厳密なゼロとは限りません。「糖類ゼロ」は糖質ゼロやエネルギーゼロを意味しないため、安心して量・頻度が増えれば結局とりすぎにつながります。
- 「無糖」でも油断禁物:無糖と書かれていても、他の炭水化物や脂質が多い食品はあります。栄養成分表示全体を見る習慣を。
- 加工食品全体の質:甘味料だけを見るのではなく、その食品全体の栄養バランスで考えることが大切です。
上手な使い方
人工甘味料は、砂糖を減らしたいときの選択肢の一つです。甘さを控えるかどうかは生活上の選択であり、使うかどうかは食事全体の糖質・エネルギー摂取量などを踏まえて個別に判断しましょう。急に砂糖をゼロにするのが難しい人が、段階的に糖分を減らすための道具として使うこともできます。なお、インスリンやSU薬などを使用中の方が糖質摂取量を大きく減らすと、薬の作用との不釣り合いから低血糖が起こることがあります。大幅に変える場合は血糖を確認し、治療の調整を主治医に相談してください。コーヒーの砂糖を少しずつ減らす、加糖飲料を無糖の炭酸水やお茶に切り替える——そんな小さな一歩から始めてみましょう。「甘味料に置き換えたから安心」で終わらせず、食品全体のバランスも見ていく視点が大切です。
よくある質問
Q. 人工甘味料は体に悪いと聞きますが本当?
A. 認められた甘味料を通常の食生活で摂取する範囲では、健康被害を心配しすぎる必要はないとされています(安全性は摂取量も踏まえて評価されます)。ただし研究は続いており、「たくさんとれば良い」ものではありません。とりすぎは避けましょう。なお、フェニルケトン尿症の方はフェニルアラニンの摂取管理が必要で、アスパルテームはこれに配慮が必要な例外にあたります。
Q. ダイエット飲料なら好きなだけ飲んでいい?
A. 血糖やエネルギーへの影響は小さくても、飲む習慣そのものを見直したい場合があります(甘味への慣れが過食につながるかは確立していません)。基本は水・お茶を中心に。
Q. 糖尿病でも甘いものを楽しめますか?
A. 量とタイミングを工夫すれば楽しめます。甘味料はその選択肢の一つですが、過度な期待はせず、全体のバランスを大切にしてください。
チェックリスト
- 砂糖入り飲料を無糖・ゼロタイプに置き換えられた
- 「ゼロ」でも量・頻度が増えていないか意識している
- 栄養成分表示を全体で見る習慣がある
- 食事全体の糖質・エネルギー量に合わせて利用できている
- 基本の水分補給は水・お茶にしている
この記事は一般的な情報です。特定の製品の摂取量については、パッケージの表示を確認し、主治医・管理栄養士の助言も参考にしてください。人工甘味料への反応や適切な使い方には個人差があります。

