熱中症対策のつもりで、加糖飲料を大量に飲み続けることが、糖尿病の顕在化や重い高血糖のきっかけになることがあります。猛暑日に、スポーツドリンクや清涼飲料を「水代わり」にがぶ飲みしていませんか。夏場や若い世代にも起こりうる「ペットボトル症候群」について、専門医の視点でわかりやすく解説します。
この記事のポイント
- スポーツドリンク500mlで角砂糖5〜8個分ほどの糖分(目安)
- がぶ飲みで急性高血糖「ペットボトル症候群」に
- 「高血糖→のどの渇き→さらに飲む」の悪循環に注意
- 糖尿病未診断の若い人にも起こりうる
- 水分補給は水・麦茶を基本に
ペットボトル症候群とは
正式には清涼飲料水ケトーシスと呼ばれる急性の状態です。加糖飲料の多飲で高血糖が悪化し、インスリンの働きが著しく不足すると、体は糖をエネルギーとしてうまく使えなくなります。そのかわりに脂肪の分解が進み、その副産物であるケトン体が体にたまっていきます。重症になると、血液が酸性に傾くケトアシドーシスとなり、意識障害に至ることもある危険な状態です。まだ糖尿病と言われていない若い人にも起こりうるのが、こわいところです。
なぜ「悪循環」に陥るのか
この状態のこわさは、自分では止まりにくい悪循環にあります。糖分の多い飲み物で血糖が上がると、体は余分な糖を尿から出そうとして尿量が増え、脱水が進みます。脱水になると強いのどの渇きを感じ、また甘い飲み物をがぶ飲みする——こうして高血糖と脱水がどんどん進んでしまうのです。「水分をとっているのに調子が悪い」と感じるときほど、飲み物の中身を見直す必要があります。
こんな人・場面は要注意
- 猛暑日に甘い飲み物を「水代わり」に飲み続けている
- もともと肥満傾向がある、または健診で血糖高めと言われた
- 加糖飲料やエナジードリンクを日常的に多飲している
- 糖尿病の治療中で、体調をくずしている(シックデイ)
こんなサインが出たら要注意
- 異常なのどの渇き・水をいくら飲んでも足りない感じ
- 体がだるい・眠い・力が入らない
- 尿の回数や量が増える
- 吐き気・腹痛・急な体重減少
- 息が荒い・意識がもうろうとする(重症サイン)
これらが続くときは、早めに医療機関を受診してください。とくに意識がもうろうとする・速く深い呼吸があるときは、ためらわずただちに119番に連絡してください。強い口渇・多尿に吐き気・腹痛・嘔吐を伴う場合も、すみやかに救急を受診してください。
糖分の目安(500mlあたり)
| 飲み物 | 糖質の目安 | 角砂糖換算(目安) |
|---|---|---|
| 清涼飲料水・コーラ系 | 約50〜60g | 約12〜15個 |
| スポーツドリンク | 約20〜35g | 約5〜8個 |
| エナジードリンク | 約40〜55g | 約10〜14個 |
| 水・麦茶 | ほぼ0g | 0個 |
※角砂糖1個を約4gとした概算で、製品により異なります。あくまで目安です。
予防のポイント
ふだんの水分補給は水か麦茶を基本にしましょう。経口補水液は脱水時の水・電解質補給に用いるもので、脱水のない人の日常的な水分補給や熱中症予防のために飲むものではありません。熱中症による脱水には、その用途に対応した表示のある製品を用い、大量に汗をかいたときも「水代わりにずっと飲み続けない」ことが大切です。ナトリウム・カリウム・糖質などの制限がある方は、使う前に主治医や管理栄養士に確認してください。飲む前にラベルの糖質量を確認する習慣をつけましょう。どんな飲み物が血糖に響きやすいかは水代わりに避けたい飲み物もあわせてご覧ください。無糖の飲料に切り替えたいときは人工甘味料の記事も参考になります。
よくある質問
Q. 熱中症予防にはスポーツドリンクが必要では?
A. 大量発汗時の水分・電解質補給には役立ちます。ただし日常の「水代わり」には糖分が多すぎます。普段は水や麦茶を基本に、必要な場面だけ使い分けましょう。
Q. 糖尿病でなくても起こりますか?
A. 起こりえます。とくに肥満傾向のある若い世代が、加糖飲料の多飲をきっかけに発症する例が知られています。
Q. 経口補水液も飲みすぎ注意ですか?
A. 経口補水液は脱水時の水・電解質補給に用いるもので、糖分・塩分ともに含みます。脱水のない日常の水分補給には向きません。必要な場面で適量を、が原則です。
チェックリスト
- ふだんの水分補給を水・麦茶にしている
- 甘い飲み物を「水代わり」に飲み続けていない
- 飲み物のラベルで糖質量を確認している
- 強いのどの渇き・だるさ・頻尿に気づけている
- 気になる症状が続くときは受診を考えている
この記事は一般的な情報です。糖質含有量は製品・飲用量により異なり、飲用後の血糖の上がり方には個人差があります。気になる症状が続くときは早めに医療機関へご相談ください。意識がもうろうとする・速く深い呼吸があるときは、ただちに119番に連絡してください。治療内容については主治医の助言も参考にしてください。
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