暑いからと、つい「水代わり」にゴクゴク飲んでいる飲み物。それ、実は血糖にけっこう響いているかもしれません。糖を含む飲み物は、短時間に多くの糖質を一度にとりやすく、急な血糖上昇につながることがあります。糖尿病専門医の立場から、水分補給に「水代わり」の常飲は控えたい飲み物を3例紹介します(糖質の濃度と実際に飲む量で考えるのがポイントで、種類だけで順位が決まるわけではありません)。
この記事のポイント
- 糖を含む飲み物は一度に多くの糖質をとりやすく、血糖が急に上がりやすい
- 水代わりに飲み続けると糖分が知らぬ間に積み重なる
- 「ヘルシーそう」な果汁・スムージーも糖が多いことがある
- 清涼飲料水・スポーツドリンクは常飲を控えたい代表例
- ふだんは水・麦茶・無糖のお茶を基本に
なぜ「飲み物の糖」が要注意なのか
糖を含む飲み物は、短時間に多くの糖質を一度にとりやすく、血糖を急に押し上げやすい傾向があります(実際の上がり方は糖の種類・量や食物繊維・脂質などにもよります)。さらに、飲み物は「食べた」実感が薄く満腹感につながりにくいため、量が積み重なりやすいのも落とし穴です。温度や糖の種類・濃度によって甘さの感じ方は変わるため、甘さの感覚だけで糖質量を判断せず、栄養成分表示を確認しましょう。血糖スパイクを防ぐうえでも、飲み物選びは大切なポイントです。
例1:甘い缶コーヒー・カフェラテ
ほっと一息の一杯はいいのですが、加糖タイプを1日に何本もとると糖分が積み重なります。微糖と書かれていても糖はゼロではありません。無糖・ブラックに替えるだけで大きく変わります。フレーバーシロップやミルク多めのカフェドリンクも、意外と糖分が多いので注意しましょう。
例2:果汁ジュース・スムージー
「ヘルシーそう」に見えても、果糖はしっかり入っています。とくに搾って繊維を取り除いた果汁は、果物そのものより糖が吸収されやすくなります(果肉ごと砕くスムージーでは繊維が残るため一律ではなく、材料・加工方法・糖質量・飲む量で変わります)。「果汁100%」でも糖質はあり、水代わりにはなりません。果物は「飲む」より「食べる」のがおすすめです。野菜スムージーも、果物や甘みが加わっていれば糖質は増えます。
例3:スポーツドリンク・清涼飲料水
500mlのペットボトルで、スポーツドリンクなら角砂糖5〜8個分、コーラ系の清涼飲料水では角砂糖12〜15個分ほどの糖分を含むことがあります(あくまで目安・製品差あり)。暑い日に「水代わり」でがぶ飲みし続けると、糖を含む清涼飲料水の多飲などをきっかけに、著しい高血糖とケトーシスをきたし、ケトアシドーシスに至ることもあるペットボトル症候群を起こすことがあります。強い口渇・多尿・倦怠感が続くときは早めに、嘔吐や意識がもうろうとするときは救急で受診してください。エナジードリンクも糖分・カフェインともに多い傾向があり、常用は避けたいところです。
飲み物の糖分の目安(500mlあたり)
| 飲み物 | 糖質の目安 | 角砂糖換算(目安) |
|---|---|---|
| 清涼飲料水・コーラ系 | 約50〜60g | 約12〜15個 |
| スポーツドリンク | 約20〜35g | 約5〜8個 |
| 果汁100%ジュース | 約45〜55g | 約11〜14個 |
| 加糖の缶コーヒー | 約35〜40g(微糖タイプは約10〜20g) | 約9〜10個(微糖は約3〜5個) |
| 水・麦茶・無糖のお茶 | ほぼ0g | 0個 |
※角砂糖1個を約4gとした概算です。製品により大きく異なるため、あくまで目安です。実際は栄養成分表示をご確認ください。
ではどうする?
スポーツドリンクは大量に汗をかいたときなどの水分・電解質補給に、経口補水液は製品の適応に沿った脱水時の補水に役立つ場面があり、用途は分けて考えます(下痢・嘔吐による脱水では両者を同じ代用品として扱わないでください。糖尿病や電解質の摂取制限がある方は使い方に配慮が必要です)。大事なのは「ずっと水代わりにしないこと」。ふだんの水分補給は、水・麦茶・無糖のお茶を基本にしましょう。甘い飲み物が欲しいときは、無糖の炭酸水にレモンを搾る、水出し緑茶を冷やしておくなどの工夫がおすすめです。マイボトルに水やお茶を入れて持ち歩くと、自動販売機やコンビニで甘い飲み物に手を伸ばす回数そのものを減らせます。飲み物を買うときは、まず栄養成分表示の炭水化物の量(糖質の表示があれば併せて)を確認するクセをつけると、自分がどれだけ糖をとっているかに気づきやすくなります。炭水化物は糖質と食物繊維の合計で、「糖類」とも意味が異なります。表示が「100mlあたり」か「1本あたり」かにも注意しましょう。なお角砂糖換算はあくまで重量の目安で、添加された砂糖の量や同じ血糖の上がり方を示すものではありません。
よくある質問
Q. スポーツドリンクは体にいいのでは?
A. 大量発汗時などの水分・電解質補給には役立ちます。ただし糖を含むスポーツドリンクを日常の「水代わり」に多飲すると、糖質の過剰摂取につながります。場面を選んで使い、脱水時の補水には用途に応じて経口補水液を検討しましょう。
Q. 無糖なら何を飲んでもいい?
A. 水・お茶・無糖の炭酸水などが基本です。人工甘味料入りの飲料も選択肢になりますが、詳しくは人工甘味料の記事を参照してください。
Q. 野菜ジュースならいい?
A. 果物や糖が加わっているものは糖質が高めです。原材料と栄養成分表示を確認しましょう。
チェックリスト
- ふだんの水分補給は水・麦茶・無糖のお茶にしている
- 加糖飲料を「水代わり」に飲み続けていない
- 果汁やスムージーの糖質を意識している
- 缶コーヒーは無糖・ブラックを選んでいる
- スポーツドリンクは必要な場面だけにしている
この記事は一般的な情報です。運動時や体調不良時など、水分・塩分・糖分の補給が必要な場面もあります。体調や治療内容に応じて主治医の助言も参考にしてください。飲料の糖質量は製品や飲む量によって異なり、摂取後の血糖の上がり方には個人差があります。

